低線量の放射線を使ったホルミシスは、健康維持や様々な病気の治療に効果があるといわれます。では、実際にどうすればホルミシスの効果が得られるのでしょうか。
またホルミシスを受けることで、身体にどのような変化が起き、どのような症状、病気に効果があるのか、放射線による副作用などはないのかと不安に思われる方も多いでしょう。ここでは身近な場所でホルミシス効果を得られる方法と、その具体的な効能について解説します。
ホルミシスとは?
現在、ホルミシス治療として健康増進、病気の治療などに使用されるものは、主に放射線ホルミシスになります。放射線というと、一般的には人体に有害で恐ろしいイメージがあります。しかし低線量の放射線は、人体の機能や免疫力を活性化させ、健康に有益な効果があることも判明しています。
これは米国ミズーリ大学の生命科学者、トーマス・D・ラッキー博士が、NASAの依頼により、地球の100倍もの放射線を浴びた宇宙飛行士の身体への影響を研究した結果、身体機能や健康状態がむしろ向上していると判明したことから、1980年に「放射線ホルミシス」という仮説を出したことが始まりです。
その後も研究が進み、ホルミシス効果は、いまや様々な医療分野で治療法として実践されています。
ホルミシスの効果
トーマス・D・ラッキー博士は、ラドン(低線量放射線)が細胞に作用することで、細胞が活性化、その結果活性酸素が発生し、抗酸化酵素を作る遺伝子が活性化し、抗酸化酵素が除去されることで様々な効果があるとしています。
ホルミシス効果のメカニズムはまだ解明されていない部分もありますが、低量の放射線による刺激は、様々な身体機能を高め、病気の治癒を推し進めると考えられています。具体的には、血行を促進して新陳代謝を進め、体内の活性酸素、過酸化脂質など老廃物を排出する。
内臓や神経系に働きかけて免疫力や自然治癒力を高め、様々な病の原因療法につながる。
脳の働きに効果がある脳内物質の分泌を活性化する。
細胞膜の透過性を高めて、栄養素を吸収する力を強化し、サプリメントや薬の効能が高くなる、血行を促進し体温が上昇する、美肌効果があるなどです。
また癌にも良いという報告があり、実際ラジウム温泉で有名な三朝温泉では、その周辺住民の癌による死亡率は、全国平均よりも低いようです。
またラドンは半減期が短いため、放射線による害はまずありません。ラドン温泉の場合、体内に取り込んだラドンは、せいぜい数時間ですべて体外へと排出されます。
放射線を浴びると危険では?
東日本大震災でも問題になった放射線。ホルミシスで放射線を浴び続けると身体に影響があるのではないかと不安に思われるかもしれません。なお国が発表している、人間が1年間浴びても問題ないとされている基準値は1ミリシーベルト(1時間あたり0.11~0.12マイクロシーベルト)ですが、5年間で100ミリシーベルト未満であれば人体に影響がないと言われています。
ちなみに秋田玉川温泉の放射線量は0.8~2.3マイクロシーベルト/hです。たしかにここに毎日いると影響が出そうですが、温泉に毎日いるのではなく、一定期間だけ滞在するので影響がないと言われています。また、後述しますが、ホルミシス効果があるシートがあります。この線量は0.1マイクロシーベルトなので24時間365日つけていても0.876ミリシーベルトなので安全基準は満たしています。
また家庭用でも使用されている、ラドン吸入器では、10分間で放射線量が0.014ミリシーベルトで、レントゲン検査では一回当たり0.06ミリシーベルトですので、かなり低線量で安全であることがわかります。
そのため、必要以上に浴び続けなければ、身体に影響がなくホルミシスの効果が実感できると思います。
ホルミシスの効果が期待できる方法
一般で行われているホルミシス療法の多くは、半減期の短い気体状の放射性物質であるラドンガスや、その元となる鉱石のラジウムを利用したものになります。これ以外にも色々と方法がありますので見ていきます。なお、ラジウム鉱石に関しては、これをお湯に入れるだけで、手軽にラジウム温泉を楽しめるという宣伝文句がありますが、お湯に入れても水道水と変わらないため、ホルミシス効果はないとされています。
温泉
ちょっとホルミシスの効果を試してみたい方は、温泉がおすすめです。ホルミシス効果がある天然温泉は、秋田の玉川温泉、鳥取の三朝温泉、新潟の村杉温泉が有名です。ラドンは関節リウマチや運動器疾患の痛み、五十肩や冷え性などに効果があるとされていますので、症状でお悩みの方はぜひご利用してみて下さい。
体内に吸収されたラドンは、血液に入って全身を回ります。ラドンは脂肪が多い副腎皮質、脾臓、皮下脂肪、赤血球などに多く集まります。そのため、特に副腎皮質や脳下垂体の機能を強めるとされています。また、ラドン温泉が関節リウマチや運動器疾患の患者の痛みを和らげるとされていますが、これは、ラドンが特に脂質の多い神経の髄鞘(ずいしょう)に作用するためと言われています。
ホルミシスルーム
ホルミシスルームとは、天然のラジウム鉱石を原料にして作られたタイルを室内に配置した部屋です。タイルから適度な濃度のラドンガスが発生します。ホルミシスルームの良いところは、温泉と比べて安定的にホルミシスの効果を得ることが出来ることです。温泉だと雨が降ったり、風が吹くとラドンが飛んだりしてラドンガスの供給が不安定となりホルミシス効果がなかなか得られにくいこともあります。また着替えが不要で、温泉と比べホルミシスの施設が多くあることもメリットです。
ラドン吸入器
ラドン吸入器は、自宅で手軽にホルミシスの効果を取り入れることが出来ます。ラドン吸入器には、ラドンガスを発生させる鉱石が入っています。吸入することで、直接血液に取り込まれ、ガンやリウマチに効果があるとされています。ラドン吸入器の使用方法は、専用のジャグに水を入れてラドン水を作ります。その後吸入器にセットしてミスト状にして吸入します。
ホルミシス治療
病院でもホルミシス治療をしてくれるところがあります。治療方法は病院によって様々で、ホルミシスルームに入って治療するところもあれば、ホルミシスマットを使用しているクリニックもあります。ただ状況によっては断れることもあるので、ホルミシス治療を受けたい場合は事前に予約なり、診療を受けたほうが良いです。
まとめ
ホルミシス効果を得られる施設は、近くの銭湯や入浴施設など、意外と身近なところにあるものです。調べてみるといいでしょう。またホルミシス効果は基本的な身体機能を高めることで、免疫力、抵抗力をも増強して、病を根源から治療する方法です。特にホルミシス治療が効果的な病気ではない、また特に病気ではないが身体機能が弱いという人でも、定期的にラドン温泉へ入浴することで、健康が増進する可能性もあります。試してみる価値はあります。